「SESエンジニアは月単価80万と聞いたのに、手取りが40万円台だった」「マージン率って何?どこに消えているの?」——SES業界の給与体系は、正しく理解しないと損をします。
SES(システムエンジニアリングサービス)の給与は「月単価×還元率」という独特の仕組みで決まります。しかし、この仕組みを深く理解しているエンジニアは意外に少なく、「なぜ年収が上がらないのか」「どうすれば効率よく稼げるのか」がわからないまま働き続けるケースが後を絶ちません。
本記事では、2026年最新データをもとにSESエンジニアの給与体系を月単価・マージン率・還元率・年収相場・給与アップ戦略の順に徹底解説します。株式会社HLTのコーディネーターが現場で確認している最新相場も含め、実践的な情報をお届けします。
SES給与体系の基本構造:月単価・マージン・還元率の仕組み
SESの給与は「三層構造」で決まります。この仕組みを正確に理解することが、給与アップへの第一歩です。
月単価とは何か
月単価とは、SES企業がクライアント(顧客企業)に請求するエンジニア1名あたりの月額稼働報酬のことです。「単価60万円」とは、クライアントがそのエンジニアに対してSES企業に毎月60万円を支払っているという意味です。
月単価はエンジニアのスキル・経験・保有資格・市場需要によって変動し、2026年現在のSES市場における目安は以下の通りです(株式会社HLT取り扱い案件データより):
| スキルレベル | 主な対象 | 月単価相場(2026年) |
|---|---|---|
| 未経験〜1年 | IT研修修了者・第二新卒 | 25〜40万円 |
| 経験2〜3年(基本スキル) | Webアプリ開発・テスト・インフラ監視 | 40〜60万円 |
| 経験3〜5年(中堅) | バックエンド開発・インフラ設計・PM補佐 | 55〜80万円 |
| 経験5〜8年(上級) | アーキテクト・テックリード・PM | 75〜120万円 |
| 経験8年以上(エキスパート) | AI/ML・SRE・クラウドアーキテクト | 100〜160万円 |
2026年の市場では、生成AI活用(RAG構築・MLOps)・SRE・クラウドセキュリティのスキルを持つエンジニアの単価が急上昇しており、経験5年以上で130〜150万円台の案件も増えています(出典:IPA「IT人材白書2024」)。
マージン率とは何か
マージン率とは、月単価のうちSES企業が差し引く割合のことです。SES企業はこのマージンから、営業コスト・福利厚生・教育研修・オフィス運営・利益を賄っています。
2026年のSES業界のマージン率相場は30〜45%です。マージン率35%であれば、月単価80万円のエンジニアに対してSES企業は月28万円を差し引き、52万円をエンジニアの給与原資とします(出典:厚生労働省「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する調査」)。
還元率とは何か、高還元SESとの違い
還元率とはマージン率の逆数にあたり、「月単価の何%がエンジニアの給与に還元されるか」を示す指標です。還元率60%=マージン率40%を意味します。
- 標準的な還元率:55〜65%(業界平均)
- 高還元SES:70〜85%(近年急増)
- 低還元SES:40〜55%以下(教育・福利厚生が手厚い場合も)
高還元SESは手取りが高い反面、教育研修や営業サポートが薄い場合もあります。HLTでは月次面談・スキルアップ支援・案件変更の柔軟性を維持しながら、業界平均を上回る還元率を実現しています。
HLT経験事例
株式会社HLTでは、JavaエンジニアAさん(経験4年)が月単価70万円で参画し、還元率70%で月収49万円を実現。12ヶ月後にAWSアソシエイト資格取得と交渉により単価を85万円に引き上げ、月収59.5万円(年収714万円)を達成したケースがあります。
SESエンジニアの年収相場と収入の天井
SESエンジニアの年収は「月給×12か月+賞与(ある場合)」で決まります。賞与は正社員の場合に限られ、契約社員・フリーランスSESの場合はほぼゼロです。2026年現在の年収相場は以下の通りです。
| キャリアフェーズ | 月単価目安 | 推定年収(還元率60%) | 推定年収(還元率70%) |
|---|---|---|---|
| 未経験スタート | 25〜35万円 | 180〜252万円 | 210〜294万円 |
| 経験2〜3年 | 40〜60万円 | 288〜432万円 | 336〜504万円 |
| 経験3〜5年(中堅) | 55〜80万円 | 396〜576万円 | 462〜672万円 |
| 経験5〜8年(上級) | 75〜120万円 | 540〜864万円 | 630〜1,008万円 |
| エキスパート(AI/SRE等) | 100〜160万円 | 720〜1,152万円 | 840〜1,344万円 |
「SESの年収上限は500万円」という説がありますが、これはスキルアップをしない場合の話です。高需要スキルを持ち、適切に交渉できるエンジニアは1,000万円超も現実的な水準になっています。
SES正社員と契約社員の年収比較
同じSESエンジニアでも、雇用形態によって年収構造が異なります。
| 雇用形態 | 月給の決まり方 | 賞与 | 社会保険 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 正社員SES | 固定月給(内部評価制) | あり(年1〜4ヶ月分) | 完備 | 安定・待機期間も給与保証 |
| 契約社員SES | 単価連動型が多い | なし〜少額 | 完備 | 単価が直接収入に反映されやすい |
| フリーランスSES | 単価=収入(経費控除前) | なし | 国民健康保険・国民年金(自己負担) | 高単価・高リスク・節税余地大 |
給与を決める5つの要因とコントロール方法
SESエンジニアの月給・年収を決める主な要因は5つです。それぞれのコントロール方法を理解することで、能動的な収入アップが可能になります。
①月単価(最重要)
月単価は給与の源泉です。スキルアップ・資格取得・案件変更のタイミングで交渉することが最も直接的な収入アップ手段です。HLTでは半期ごとの単価レビュー面談を実施し、市場相場との乖離がないかを定期確認しています。
②還元率(SES企業選びで決まる)
同じ単価60万円でも、還元率55%の会社では月給33万円、還元率70%の会社では月給42万円と、年間108万円もの差が生じます。転職・企業選びの際は還元率を必ず確認しましょう。
③稼働率(スキルと現場選びで決まる)
SESでは月間稼働時間が設定されており(通常140〜180時間)、稼働時間が下限を下回ると単価が調整される場合があります。案件の繁忙期・閑散期を事前に確認し、安定した稼働が見込める案件を選ぶことが重要です。
④スキルセット(学習投資で決まる)
2026年現在、単価アップに直結するスキルのトップ5は「生成AI/LLM実装」「クラウドアーキテクチャ(AWS/Azure/GCP)」「SRE/DevOps」「サイバーセキュリティ」「データエンジニアリング」です(経済産業省「DX推進指標自己診断結果」2024年参照)。
⑤交渉力(知識と実績で決まる)
同じスキルでも、市場相場を知り、実績を数値化して交渉できるエンジニアは単価が高くなります。「前案件でAPIレスポンスタイムを40%改善」「チームの生産性を30%向上させた手法を導入」など、具体的な成果を数値で示すことが交渉を有利にします。
SESエンジニアが年収を上げるための具体的ロードマップ
年収アップは「スキル×単価交渉×企業選び」の掛け算です。段階別に最適なアクションを取ることで、効率よく収入を増やせます。
フェーズ1:経験0〜2年(基盤構築期)
- 基本技術の習得(プログラミング言語1〜2本・Linuxコマンド・Git)
- IPAの基本情報技術者試験合格を目指す(単価10〜15万円アップの実績多数)
- 現場での「問題解決力」「コミュニケーション力」を意識的に磨く
フェーズ2:経験2〜5年(単価アップ期)
- AWS SAA・AzureのAZ-900〜AZ-104・応用情報技術者のいずれかを取得
- 現場で担当範囲を広げ、設計・レビュー・後輩指導の実績を作る
- 年1回以上の単価交渉(エージェント経由で市場相場を確認の上)
フェーズ3:経験5年以上(高単価案件移行期)
- AI/LLM・SRE・クラウドセキュリティのいずれかに特化する
- 70万円超の案件への積極的な挑戦(HLTでは面談準備を全面サポート)
- フリーランスSES転向も検討(単価から経費控除し節税を活用)
HLT経験事例:フロントエンドエンジニア(経験3年・月単価55万円)がReact+TypeScript+Next.jsにスキル特化し、AWS Amplify認定を取得。8ヶ月後に月単価78万円の案件に移行し、年収が396万円から554万円に引き上がったケースを株式会社HLTはサポートしています。
「マージン率を教えてくれない」問題:透明性の確認方法
「自分の月単価を教えてもらえない」「マージン率が不明瞭」——これはSES業界の構造的な課題です。2024年施行の「フリーランス・事業者間取引適正化等推進法」により、取引条件の明示義務が強化されつつあります(出典:公正取引委員会「フリーランス・事業者間取引適正化等推進法」)。
月単価・マージン率を確認する3つの方法
- 直接開示を求める:「自分の案件単価と還元率を教えてください」と正式に申し入れる。法的義務はないが、良心的なSES企業は開示に応じる。
- 転職エージェント経由で相場確認:同スキル・同経験の市場単価をエージェントから聞き、現在の給与との乖離を把握する。
- 比較検討:単価・還元率・福利厚生を複数社で比較し、納得できない場合は転職を選択肢に含める。
HLTでは、参画前に月単価と還元率の算定方法を書面で確認できる透明性の高い運営を実施しています。
SES給与体系に関するよくある質問(FAQ)
Q1. SESのマージン率の適正水準は?
業界平均は30〜40%です。35%前後が多く見られます。福利厚生・教育制度・営業力が充実した企業では40%台もあります。高還元SES(マージン率20〜30%)は手取りが高い反面、サポート体制が薄いことが多いため、総合的に判断してください。
Q2. 月単価と月給は同じ?
異なります。月単価はクライアントがSES企業に支払う金額であり、そこからマージンを差し引いた金額が給与原資になります。さらに社会保険料等を控除した金額が手取り(可処分所得)です。
Q3. SESで1,000万円は可能?
可能です。経験8年以上でAI/ML・SRE・クラウドアーキテクト等の高需要スキルを持ち、月単価120〜140万円以上を実現できれば、還元率70%で年収1,000万円超になります。ただし、そのレベルには継続的な学習と実績の積み上げが必要です。
Q4. SESとフリーランスでは年収はどちらが高い?
同じ月単価なら、フリーランスのほうが手取りは高くなることが多いです(マージン料が不要)。ただし社会保険の自己負担・確定申告コスト・待機期間の収入ゼロリスクを加味すると、必ずしもフリーランスが有利とは言えません。経験5年以上で安定した案件獲得力がある場合に有効な選択肢です。
Q5. 年収を上げるには転職とスキルアップどちらが先?
同じスキルのまま転職しても、単価が大幅に上がることは期待できません。まずスキルアップ・資格取得で市場価値を高め、その後に転職または単価交渉するのが効率的です。ただし、現在の会社が単価交渉に応じない場合は、転職が先になるケースもあります。
まとめ:SES給与体系を正しく理解して年収アップを実現しよう
SESエンジニアの給与体系を「月単価・マージン率・還元率・年収相場・給与アップ戦略」の観点から解説しました。重要ポイントを3つにまとめます。
- ①給与=月単価×還元率:マージン率(30〜40%が相場)を理解し、還元率の高い企業を選ぶことが年収アップの基盤です。
- ②スキルアップが最も効果的な年収向上手段:AI/ML・クラウド・SREなど2026年の高需要スキルへの投資で、月単価は経験5年以上なら100万円超も可能です。
- ③透明性のあるSES企業選びが重要:単価・マージン率・キャリア面談を明示する企業を選ぶことで、長期的な年収アップが実現します。
SESの給与体系についてご不明な点、案件の単価交渉支援、スキルアップ相談は、株式会社HLTの専任コーディネーターにお任せください。
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参考文献・出典
- IPA「IT人材白書2024」https://www.ipa.go.jp/jinzai/chousa/it-jinzai2024.html(2026年6月12日最終確認)
- 厚生労働省「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する調査」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/haken/(2026年6月12日最終確認)
- 公正取引委員会「フリーランス・事業者間取引適正化等推進法」https://www.jftc.go.jp/freelance/(2026年6月12日最終確認)
- 経済産業省「DX推進指標自己診断結果分析レポート2024年」https://www.ipa.go.jp/digital/dx-suishin/dx-indicator.html(2026年6月12日最終確認)










