「プログラミングが苦手だけれどIT業界でキャリアを積みたい」「開発よりも運用・管理系でITスキルを活かしたい」——そう考えるエンジニアにとって、SESのバックオフィス・IT運用案件は大きなチャンスです。経済産業省の調査によると、2030年には最大79万人のIT人材が不足すると試算されており、開発エンジニアだけでなく、ヘルプデスク・PMO・インフラ運用などの運用系人材の需要も急増しています。本記事では、SES・IT系バックオフィス案件の種類・月単価相場・選び方のチェックポイントを徹底解説します。株式会社HLTでは年間100件以上のバックオフィス系案件をエンジニアに紹介しており、現場で培った実務知見をもとにお届けします。
IT系バックオフィス案件とは?SES開発系との違いを解説
IT系バックオフィス案件とは、システムやインフラの「開発・実装」ではなく「運用・管理・支援」を担うIT業務全般を指します。具体的には、ヘルプデスク、インフラ運用監視、PMO(プロジェクト管理支援)、IT内部監査、システム導入支援などが代表的なポジションです。SES(システムエンジニアリングサービス)の契約形態でこれらの業務を担うケースが増えており、特に2024年以降のDX推進ブームで案件数が急増しています。
SES開発系案件との主な違い
開発系SES案件との最大の違いは「プログラミングスキルの比重」です。バックオフィス・運用系案件では、コーディングよりもコミュニケーション能力・ドキュメント作成力・マネジメントスキルが重視されます。月単価30万円台から始められる案件も多く、IT未経験に近い方でもキャリアをスタートしやすい入口としても機能します。一方でPMO・ITコンサルクラスになると月単価80〜120万円を超える高付加価値ポジションも存在します。
| 比較項目 | 開発系SES案件 | バックオフィス・運用系案件 |
|---|---|---|
| 必要スキル | プログラミング・設計力 | コミュニケーション・管理力 |
| 平均月単価(中堅) | 60〜100万円 | 40〜80万円 |
| リモート比率 | 高い(フルリモートも多数) | 案件による(オンサイト多め) |
| 未経験参入のしやすさ | やや難しい | 比較的容易 |
| 夜勤・シフト勤務 | ほぼなし | 監視系では発生する場合あり |
| 将来のキャリアパス | アーキテクト・テックリード | PM・PMO・ITコンサル |
需要が高まる背景:DX加速とIT人材不足
2024〜2026年にかけて、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進が本格化し、社内IT管理・クラウド移行・セキュリティ強化を担う人材需要が急拡大しています。IPA(情報処理推進機構)の「DX白書2023」では、DX推進の最大の障壁として「IT人材の量・質の不足」が全業種で上位に挙がっています。特に、既存システムの保守・運用を担いながら新システム導入を並行して進める「2層IT体制」の企業が増え、運用系エンジニアの需要が構造的に拡大しています。
バックオフィス案件の5職種カテゴリと月単価相場【2026年版】
SESのバックオフィス案件は職種によって求められるスキルセットと月単価が大きく異なります。2026年現在の市場実態をもとに、主要5カテゴリの特徴と単価相場を解説します。
① ヘルプデスク・ITサポート(月単価:30〜55万円)
ヘルプデスクはバックオフィス案件の中でも最も間口が広く、ITキャリアのスタートラインとして人気があります。業務内容は、社内ユーザーのPC・ネットワーク・アプリケーションに関する問い合わせ対応、チケット管理、PC初期設定(キッティング)、マニュアル整備などです。IT未経験・第二新卒でも参入できる案件が多い一方、ITILの知識やServiceNow・Jira等のITSMツール経験があると月単価が5〜10万円引き上がります。株式会社HLTでは、ヘルプデスク経験2年のエンジニアが、IT内部監査・システム品質管理の案件に移行し、月単価を38万円から62万円へ引き上げたケースも実績として持っています。
② インフラ運用監視(月単価:40〜75万円)
インフラ運用監視は、サーバー・ネットワーク・クラウドサービス(AWS・Azure・GCP)の安定稼働を維持する業務です。障害検知・初期対応・ログ分析・定期保守作業が主な業務で、シフト制や夜勤が伴う案件も存在します。クラウドエンジニア資格(AWS SAA、Azure Administrator等)を持つことで月単価70万円超の案件に参入しやすくなります。2026年時点では、クラウド移行プロジェクトに伴うハイブリッドクラウド運用の案件が増加傾向にあります。
③ PMO・プロジェクト管理支援(月単価:50〜90万円)
PMO(Project Management Office)は、プロジェクトマネージャーをサポートし、進捗管理・課題管理・予算管理・ドキュメント整備・ステークホルダー調整を担当します。大規模DXプロジェクトや基幹システムリプレイス案件での需要が高く、PMP®資格保有者は月単価90万円超も狙えます。コミュニケーション能力・Excel/PowerPointの高度な活用スキル・議事録作成力が必須です。株式会社HLTが仲介した案件では、製造業の基幹システム移行PJでPMOポジションに参画した経験5年のエンジニアが月単価82万円を実現し、翌年には同クライアントから直接PMの打診を受けるまでに至りました。
④ IT内部監査・コンプライアンス(月単価:45〜80万円)
企業のIT統制・情報セキュリティ管理態勢の整備を支援する専門性の高い分野です。ISMS(ISO/IEC 27001)・SOC2・PCIDSS等の認証取得支援、リスクアセスメント、監査報告書作成などを担当します。CISA(公認情報システム監査人)やITIL Expert資格が評価され、金融・医療・通信業界での需要が特に高い傾向にあります。SES契約での参画形態が一般的で、プロジェクト期間は6ヶ月〜2年の中長期案件が多いのが特徴です。
⑤ システム導入支援・DX推進支援(月単価:55〜95万円)
ERP(SAP・Oracle)・CRM(Salesforce)・BI(Tableau・PowerBI)などのエンタープライズシステム導入を支援するポジションです。要件定義から設計・テスト・ユーザー研修・本番移行まで、プロジェクト全体を通して関与するケースが多く、業務知識とIT知識の両方が求められます。DX推進の文脈では、現場業務のデジタル化・自動化(RPA導入・Power Automate活用等)を担当するロールも急増中です。2025年以降はAI活用推進・生成AI導入支援の案件も増えており、AIリテラシーがある人材は希少価値が高まっています。
SESバックオフィス案件の選び方5つのチェックポイント
案件選びで失敗しないために、契約前に必ず確認すべき5つのポイントを解説します。株式会社HLTが年間100件以上の案件紹介を通じて見えてきた「後悔しない案件選びの基準」をお伝えします。
① 還元率とマージン率を確認する
SES案件では、クライアント企業が支払う月単価のうち何%がエンジニアに支給されるかを示す「還元率」が非常に重要です。業界標準の還元率は55〜65%程度ですが、高還元SES企業では70〜80%を提示するケースもあります。同じ月単価70万円の案件でも、還元率60%なら手取り月額42万円、還元率75%なら52.5万円と、年間で約126万円の差が生じます。必ずSES会社に還元率を明示させ、書面で確認することが重要です。
② 案件の継続性と更新条件を確認する
バックオフィス案件の多くは3ヶ月〜6ヶ月の契約更新制です。更新率が高い案件(概ね80%以上が更新される案件)を選ぶことが、収入の安定につながります。SES会社にその案件の平均継続期間や更新実績を確認しましょう。また、「非更新の場合の次案件提案スピード」「待機中の給与保証の有無」もチェックすべき重要事項です。
③ SES契約のコンプライアンス体制を確認する
SES契約(準委任契約)では、業務の指示・命令はSES会社が行うのが原則であり、クライアント企業が直接エンジニアに業務指揮を行う「偽装請負」は違法です。厚生労働省のガイドライン(「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」告示37号)に基づき、適法な業務分担が行われているかを確認することが重要です。適切なコンプライアンス管理をしているSES会社を選ぶことで、契約トラブルや不当な業務拡大を防ぐことができます。株式会社HLTでは、契約前に業務範囲定義書(SOW)を作成し、エンジニアが安心して業務に集中できる環境を整備しています。
④ スキルアップ支援・資格取得補助の有無
バックオフィス・運用系のエンジニアが月単価を上げるためには、資格取得と業務経験の積み上げが不可欠です。PMP®・AWS SAA・ITIL4・CISA・Salesforce資格などは市場価値を大きく向上させます。SES会社が資格取得費用の補助(全額負担・一部補助)や学習時間の確保支援を行っているかどうかは、長期的なキャリア形成において非常に重要な選択基準です。
⑤ エンジニアの口コミと定着率を調べる
OpenWork・Glassdoor・転職会議などのプラットフォームでSES会社の口コミを調べることも大切です。特に「案件選択の自由度」「担当営業の対応速度」「待機時の給与保証」に関する口コミは、実際に働くエンジニアの生の声として参考になります。定着率が高いSES会社は、エンジニアの満足度が高く、紹介される案件の質も高い傾向があります。
バックオフィス案件からのキャリアアップ戦略
バックオフィス・運用系案件はキャリアの行き止まりではなく、上流工程・マネジメント・専門職へのステップアップが明確に描けるキャリアパスです。段階的な成長戦略を解説します。
ヘルプデスク→インフラ→PMO:3段階ステップアップ
最もオーソドックスなキャリアパスは、ヘルプデスク(月単価35〜45万円)→インフラ運用(月単価50〜65万円)→PMO(月単価70〜90万円)という3段階のステップアップです。各段階での目安期間は2〜3年程度で、資格取得と業務実績を組み合わせることで昇給スピードが加速します。重要なのは「ただこなすだけ」でなく、業務改善提案やドキュメント整備など「付加価値行動」を積み重ねることです。
ITコンサルタント・DX推進専門家への道
PMO・システム導入支援の経験を5年以上積んだエンジニアは、独立系ITコンサルタントやDX推進専門家として月単価100万円超のポジションを目指せます。特に特定業界(製造・金融・医療・小売等)の業務知識とIT知識を掛け合わせた「ドメインエキスパート」は市場での希少性が高く、大手コンサルティングファームへの転職や独立フリーランスとして高単価を実現するケースが増えています。株式会社HLTでは、バックオフィス出身のエンジニアが製造業のDX専門コンサルとして独立し、年収1,200万円を実現した事例もサポートしています。
スペシャリスト路線:セキュリティ・データアナリスト
IT内部監査・コンプライアンス経験からセキュリティエンジニア(月単価70〜100万円)への転向や、PMO・システム導入支援からデータアナリスト(月単価60〜90万円)への転換も有効なキャリアパスです。セキュリティ分野ではCISA・CISSP・情報処理安全確保支援士、データアナリスト分野ではPython・SQL・BIツールのスキルセットが評価されます。
株式会社HLTのバックオフィス案件サポート実績
株式会社HLTでは、SESエンジニア向けにバックオフィス・IT運用案件を年間100件以上取り扱っています。以下は実際にHLTがサポートした代表的な事例です。
【事例①】経験3年・ヘルプデスク出身エンジニア(30代男性):大手製造業のIT部門でヘルプデスクとシステム管理を兼務していたエンジニアが、HLTを通じて金融機関のPMO案件に参画。IT内部統制プロジェクトでの経験を積み、12ヶ月で月単価が48万円から71万円に向上。ITIL4資格取得補助もHLTが全額負担しました。
【事例②】未経験からのIT参入(20代女性):非IT職から転職したエンジニアが、HLTの支援でヘルプデスク案件からキャリアをスタート。月単価32万円からスタートし、2年後にはインフラ運用監視案件へ移行、月単価52万円を実現。現在はAWS SAAの資格取得を経てクラウド運用案件に参画中です。
【事例③】SES歴5年・PMOへのシフト(30代男性):インフラ運用5年の経験を持つエンジニアが、PMP®取得を機にPMO案件への転換を希望。HLTが大手通信会社の基幹システム刷新PJのPMO枠を確保し、月単価78万円での参画を実現。プロジェクト終了後も同クライアントからの次期案件参画オファーが来るほどの評価を得ました。
よくある質問(FAQ)
Q1. IT未経験でもバックオフィス案件に参画できますか?
A. ヘルプデスク・PCサポート系の案件は、基本的なPC操作スキルとコミュニケーション能力があれば参入可能です。ただし、完全無経験よりも「事務職でExcelを使っていた」「社内PCのサポートをしていた」程度の経験があると、採用率が格段に上がります。未経験の場合は、HLTのキャリア支援担当に相談のうえ、最適な案件を紹介してもらうことをおすすめします。
Q2. バックオフィス案件の月単価は交渉できますか?
A. 交渉可能です。特に資格・経験・実績がある場合は、SES会社の営業担当を通じてクライアントへの単価アップ交渉ができます。直近の業務実績・取得資格・プロジェクト貢献度を具体的にまとめ、更新タイミング(契約更新の1〜2ヶ月前)に交渉するのが効果的です。HLTでは単価交渉のサポートも積極的に行っています。
Q3. バックオフィス案件はリモートワークできますか?
A. 案件によって異なります。PMO・IT内部監査・システム導入支援はリモートワーク可能な案件が増えています(週1〜2回出社のハイブリッドが主流)。一方、ヘルプデスク・インフラ運用監視は現場対応が必要なためオンサイト勤務が多い傾向です。希望する勤務スタイルを事前にSES会社に伝え、マッチした案件を選んでもらうことが重要です。
Q4. SESのバックオフィス案件と正社員の社内IT部門、どちらがいいですか?
A. 両者にメリット・デメリットがあります。SES案件は「複数クライアント・多様な業界経験を短期間で積める」「市場価値に応じた単価更新ができる」点が強みです。正社員社内IT部門は「雇用の安定性・組織への帰属感・福利厚生の充実」が強みです。将来的にコンサルや独立を目指すなら多様な案件経験が積めるSESが有利、組織内での昇格を目指すなら正社員が向いています。
Q5. PMOになるためにはどんな資格が有効ですか?
A. PMP®(Project Management Professional)が最もコストパフォーマンスが高い資格です。取得後は月単価が平均10〜20万円程度引き上がるケースが多く、特に大規模プロジェクトへの参入資格として評価されます。他にも、P2M(プロジェクト&プログラムマネジメント)・PRINCE2・アジャイル認定(PMI-ACP等)なども有効です。費用はPMP®の場合、受験料約68,000円+研修費が必要ですが、多くのSES会社で補助制度があります。
Q6. バックオフィス案件でスキルが身につかないという噂は本当ですか?
A. 案件の選び方次第です。単純作業に終始する低単価案件ではスキル停滞リスクがありますが、DX推進・システム導入支援・PMOなどの上位ポジションでは、プロジェクト管理・ビジネス分析・ステークホルダー管理など市場価値の高いスキルが確実に身につきます。最初から「このポジションで何を得られるか」を明確にして案件を選ぶことが重要です。
まとめ:SESバックオフィス案件で成功するための3つの鉄則
本記事で解説したSES・IT系バックオフィス案件について、要点を3つにまとめます。
① 案件カテゴリを正しく理解する:ヘルプデスク・インフラ運用・PMO・IT監査・システム導入支援の5カテゴリそれぞれの月単価相場とキャリアパスを理解し、自分の現在地と目標に合ったカテゴリを選択することが重要です。
② 還元率・継続性・コンプライアンスの3点で会社を選ぶ:SES会社の選択は、案件の質と長期的な収入を左右します。還元率を必ず書面で確認し、更新実績と適法な業務委託管理体制があるSES会社を選びましょう。
③ 資格取得と付加価値行動でキャリアを加速させる:バックオフィス案件でのキャリアアップは、資格(PMP・AWS・ITIL等)と業務での付加価値行動(業務改善提案・ドキュメント整備等)の掛け合わせで加速します。受け身でこなすだけでなく、主体的に動くことが月単価アップへの近道です。
株式会社HLTは、SESエンジニアのバックオフィス案件参画を専門的にサポートしています。案件選びやキャリアの相談は、株式会社HLTへお気軽にお問い合わせください。
参考文献・出典
- 経済産業省「IT人材需給に関する調査」(2019年)https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/
- IPA(情報処理推進機構)「DX白書2023」(2023年)https://www.ipa.go.jp/publish/wp-dx/dx-2023.html
- 厚生労働省「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」告示第37号 https://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/kaisei/dl/20070930_01.pdf
- PMI(プロジェクトマネジメント協会)PMP認定資格概要 https://www.pmi.org/certifications/project-management-pmp










